毎日暑い日が続きますが、冷房や扇風機が苦手なので、だらだらと滝のような汗を流しています。秋風が恋しい反面、短い夏を満喫せねばと夏休みプランを練っています。積もり積もったアレコレを片付けるには計画的な行動が必要、とこの歳になってやっと気づいた有様。
さて、ありがたいことに、今年は様々なイベントで人形を見ていただける機会を得ています。折角の機会ですから新作を出したい、と鋳込み&クリーニングと同時進行で原型を作っています。
こちらは瞑り目&ヌードです。
自分の人形の値段が不当に高いとは思いませんし、それだけの価値があると思うのですが、気軽に購入していただけるとは言い難いです。でも、出来ることならご自宅で好きなだけ触って遊んでいただきたい、そう考え、手抜きはしないけど手間を省いてお手頃価格での提供にしたいと思うのです(とは言っても、最近の作品の中では比較的、というだけですが)。
ヌードでは寂しいので、卵に入れて「妖精のヒナ」に仕立てるつもりです。そんなことしたら、またズラリとたくさん並べたくなってしまいそうですが。
卵はうずら。鶏に比べて先が尖ってるけど。
ずっと机に向かっていると他の事をしたくなるものです。
そこで、机の脇にある粘土箱を整理していたら、使った事の無いオーブン粘土がありました。グレースカルピー?
そうそう、いつだったか「いつまでもあると思うな道具と材料」と危機を感じた際にスカルピーを買い溜めして(最近FIMOなので減ってない…)ついでに買ったのだと思います。FIMOはとても使いやすいのですが、弾力があるためヤスリを掛けにくいので、このグレイスカルピーはどうだ、と実験的に焼いてみることにしました。
焼くにあたって四角や丸の塊では面白くないな、と洗って乾燥させていた原型に押し付けてみました。
何ということでしょう、ほぼ正確に写し取られています。
まぁ、知ってたけど。いや、そうなるとは思っていたけど必要がなかったからしなかっただけ。
…なのですが、やってみて思いました。
「これは使える!」
随分前に、ハンプティ・ダンプティを作ろうと卵型を作りましたが、卵に見えないので没にしました。
でも、鶏の卵を何回か型取り&ビスク焼成(2割縮む)して縮小したら、理想的な卵型が手に入るではありませんか!しかも、脆いグリーンウエアと違い、使い慣れたスカルピーでの卵型が手に入れば、どんなハンプティ・ダンプティでも作りたい放題。いやいやいや、嬉しい。
しかも、リプロダクションモールドからスカルピーで複製したら、かなり思い切ったカスタム出来るんじゃないか!?それに、ちょっと楽して原型作れるんじゃないか!?全部はバレるとしても、一部だけなら分からない!?
……と勢いでくだらないことを考えてしまいましたが、リプロダクションをスカルピーで型取りなどはしません。私は「オリジナルビスクドール」を作っていると標榜していますし、もしリプロダクションモールドをカスタムするとしたら、それはもうオリジナルではありません。カスタムするならそうならそうと明言しますし、そもそも楽して原型作ろうとは思いません。作ること自体が楽しみなので、楽するなら自らそのための技を編み出したいと思うし、それがまた作る楽しみなのです。
最近、トレースだパクリだ、とTwitterで目にすることがあります。可・不可の基準は人それぞれですが、少なくともオリジナルでないものをオリジナルのように見せかけるような事はしてはならないと思います。人が作ったものを横取りして「オリジナル」などと言うのは言語道断です。
今回、便利だな、と思った「石膏型でスカルピー複製」は、卵やその他の身の回りの単純な形のモノを型取りして、そこから私だけの何かを作り出したい。
簡単に複製出来るからこそ、モノ作りとしての矜持を胸に精進していきたいと思います。